シンデレラみたいに




毎日、意地悪な継母と姉達に虐められていたシンデレラは、ボロボロになって働いていました。舞踏会に着ていくドレスも無く泣いていると、魔法使いが現れました。魔法使いは、シンデレラがいつも頑張っているのを見ていたのです。魔法使いの魔法で綺麗なドレスを着て舞踏会へと出かけたシンデレラは王子様と出会いました。でも、魔法がとける前に、シンデレラは王子様の前から去ってしまいます。王子様がシンデレラを見つけることが出来たのは、ガラスの靴が残っていたからです。そのガラスの靴は、シンデレラの足にしか合わない靴でした。王子様は無事にシンデレラを見つけ出し、二人は幸せに暮らしました。ー月子の記憶のシンデレラー



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過重労働と二人の上司によるパワハラでダウンした青年は、縁切榎の力もあってか悪い縁を切ることができました。その後、青年はひとりの靴のスペシャリストに出逢いました。青年は、その 靴のスペシャリストに白いスニーカーを履いてみるよう言われました。




どうぞ、お履きになってください。買わなくていいんです。ぜひ、この靴の履き心地をお試しになって欲しいのです。そして、店内を歩いてみて感想をお聞かせください。





青年は靴のスペシャリストが見守る中、白い革のスニーカーにおそるおそる足を入れました。青年の足は、まるで靴に吸い込まれていくようでした。両足を入れて立ち上がったその瞬間、青年の顔がぱあっと明るくなりました。



元気を失くして少し丸くなっていた背中はスッと伸び、頭がぐっと天井に引っ張られたみたいになりました。その靴は、青年がそれまで履いたことがない履き心地だったのです。それもそのはずです。青年は、かつてそんなに高い靴を履いたことがありませんでした。



身体は疲れ切っていて、元気が無くなっていた青年は、久しぶりに気持ちが明るくなりました。この靴を履けば、なんだか何でも出来そうな気がしました。この靴を履いたら、どこへだって行けそうな気がしました。 



値段を見ると、その日青年が履いていた「」にみえるサイドのマークが有名な「PREMIATA」の靴が何足も買える値段でした。青年は来る日も来る日も考えました。本当に欲しい靴なのか、本当に自分に必要な靴なのかを考えました。何日か経ったある日のこと。青年は、この靴はどうしても自分に必要だと思ったのです。



その靴はとても高い靴でした。青年には入社してから貯めた貯金もありましたが、最後になるかもしれないボーナスから払うことにしました。パワハラに耐えた自分に、頑張ってきた自分に、この靴をプレゼントしようと思ったのです。



初めてその白い靴に足を入れた時、靴のスペシャリストは、青年とその母親(継母ではない)に向かってこう言いました。



こんな諺を知っていますか?




青年はその諺を知りませんでしたが、継母ではない母親はその言葉を知っていました。母親は、どうやら諺との認識ではなく、ドラマのセリフとして記憶していたようです。



  



良い靴は、履き主を良い場所へと連れて行ってくれる。





さて、青年はその後、シンデレラみたいに
















幸せに暮らすことができるのでしょうか