実際の悲劇に基づく寓話ーSPENCERー彼女を本当に"殺した"のは誰?ーTHE PRINCESー没後25年に思い出した世にも恐ろしい法則

この地球には、世にも恐ろしい法則、すなわち「正負の法則」があります。
美輪明宏


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1997年のある夏の日。この日のことは、25年経った今もはっきりと覚えている。家族で遊びに出かけた帰りの車中、私は思わず悲鳴をあげた。ラジオから流れてきた遠い異国のNEWS。ダイアナ妃が交通事故に遭い、愛する二人の子どもを残して亡くなった。私は、遊び疲れて眠る息子の寝顔を見ながら、呆然とした。



名門貴族スペンサー伯爵家の令嬢ダイアナ。チャールズ皇太子と結婚した時は、20歳という若さ。エリザベス女王の半生を描いたNetflixドラマ『ザ・クラウン』シリーズ4では、チャールズ皇太子とダイアナ妃の出会いから波乱に満ちた結婚生活などが描かれている。



当時、姉と交際していたチャールズ皇太子と初めて会った時のダイアナは、まだ16歳。一回りも年齢が違うチャールズ皇太子に、ダイアナはどんな風に映ったのだろう。


とても陽気で楽しく、魅力的な16歳の女の子だと思ったことを覚えています。ーチャールズ皇太子


 


2人の離婚に焦点が当てられると言われているシーズン5は11/9配信開始!



若くて可愛くて美しいダイアナ皇太子妃は、そのあまりの美しさ故、結婚前から常に世界の注目を浴びることとなった。そんな彼女の願いはただひとつ。自身の両親が離婚していたこともあり、心から幸せな結婚生活を願っていたという。


隣に皇太子が居てくれれば良い。良妻賢母になりたい。


はにかみながら微笑むダイアナ皇太子妃は、何処へ行っても皇太子の存在が霞むほど注目された。いや、その存在など、はなから無かったかのように、人々はダイアナ皇太子妃に熱狂した。世界中でダイアナ・フィーバーを巻き起こした。



ところが、結婚当初からの夫の裏切りにより、結婚生活は程なく破綻した。王室の古いしきたりと抑圧。度が過ぎる執拗なパパラッチ。トップレディに相談しても、苦悩の原因となった張本人と対峙しても、夫は何も変わらなかった。孤独と苦悩は募るばかり。ダイアナ皇太子妃はどんどん追い詰められ、自分を追い込み、そして壊れていった。



SPENCER

YouTubeより

 

夫と息子達を愛し、そして愛されたいと願うのは、ごく当たり前のことだ。けれども、救いの時間は子ども達と戯れ合っている時しか無かったなんて。「SPENCER」は、1991年のクリスマスの三日間の話だ。自分らしくある為に、ダイアナ皇太子妃はある決意をする。


わたしの仕事はあなた達のママよ。



マスコミが殺した?

YouTubeより



ダイアナ妃没後25年を迎えた2022年、もう一つの映画「プリンセス・ダイアナ」も上映中だ。これは、ナレーションやテロップによる解説や分析が全くないアーカイブ映像によるドキュメント映画だった。
 


婚約直前から、国葬までを描いた、むき出しの映像が淡々と続く。「彼女を本当に"殺した"のは、誰か?」その答えを、私は見つけることができたのか。


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ダイアナ妃の死については陰謀説まであるけれど、この映画を観終わった時、私はあることを思い出した。美輪さんが言っていたあの世にも恐ろしい法則を思い出したのだ。そして、この世の中は、芸能界も、会社も、幼稚園のPTAも、成分はみんな同じで、悪意、妬み、嫉み、僻みでできていることも。ダイアナ妃は、その法則によって亡くなってしまったのかも…。



人生楽あれば苦あり。どんな人の人生にも良いことと良くないことが起こる。私の人生も然り。毎日楽しいことばかりではないし、最近調子が良いかもと思ったらどこからともなく難題が現れる。その繰り返し。



それでも、私が今日まで無事でいられたのは、誰かに僻まれ妬まれるような美貌や才能を持たず、極々平凡な顔で生まれてきたからなのかも。美しい女性は、とかく悲運であったり、短命であったりすることが多い、という"美人薄命"なんて言葉もある。



ダイアナ妃は、世界中の人々から愛された反面、数々のボランティアやチャリティ活動に邁進していたことは正当に評価されたとは言い難いと言われている。事実、政治を変えたほどの偉大な業績よりも、悲しいかなその外見のことや、スキャンダルばかりが目立っていたように思う。



ダイアナ妃は、あまりにも聡明で、可愛くて、美しかった。そして、気さくで、優しくて、魅力的だった。だから世界中の多くの人々に愛された。実際に会った事もないのに、私もダイアナ妃が好きだった。



魅力はその美貌だけではない。気さくでユーモアがある。人々と握手することで触れ合いたいからとエイズ患者と素手で握手をしたり、人前で子ども達とハグしたり、なんとも愛に溢れている人なんだろう。




ダイアナ妃を好きな人たちは、ダイアナ妃をもっと見たい、ダイアナ妃の全てを知りたいと思った。それに応えるべくマスコミは追いかけた。パパラッチも追いかけた。追いかけて、追いかけて、追いかけて、追いかけた結果・・・




もし、もしも。




もし、ダイアナ妃があんなに美しくなかったら

命を落とすことは・・・・・

そう思わずにいられない位、貴女は美しかった





美しい人たちはそれだけ負をどこかで払っている。華やかな表舞台があれば、地味で厳しい裏舞台があり、大きな成功を手にした人は、ほとんどが相応の犠牲を払っている。光があるところに影がある。それが “正負の法則″ というものです。
美輪明宏




今、存命だったら61歳。素敵に年齢を重ねたダイアナは、どんなに美しかっただろう。その姿を見ることは叶わなかったけれど、貴女の生き様はこれから先も多くの人に勇気と希望を与え続けるはず。




貴女がそう願ったように、ダイアナ妃は今も私の心のプリンセス。









わたしは人々の心の中の王妃でありたいと思っていますが、この国の王妃であるとは考えていません