Dearsー後ろ姿しか知らない貴女はー






私があの人に狂っていた頃の話です。近所に仲良しのママ友、サトウちゃんが住んでいました。サトウちゃんは三人のお子さんがいる可愛いママ。私のくだらない冗談を間に受ける様な、純粋な人。そして少々慌てん坊でした。私たちはちょっとした時間を見つけては、日頃の育児疲れを癒すべく珈琲を飲んではしょうもない話をして笑いました。



ある日の夕方。子どもをピアノ教室に送った帰りのサトウちゃんがやってきました。お迎えは一時間後。私は急いで珈琲を淹れました。そして、サトウちゃんに一枚のブックレットを見せました。その頃の私が、ハマりまくっていたあの人のCDに入っていたものでした。



サトウちゃん。これ、新しいアルバム。あのね、ここだけの話なんだけど。このページの写真の後ろ姿の女のひと。これ、実は私なんだよ。



サトウちゃんはじっと写真を見つめました。そして、大きな丸い目をさらに見開いて、私とブックレットの中の後ろ姿の女性を交互に見ています。その後、あ…と言って、絶句しました。



あ…。ほんとだ。このスカート!これ、月子さんだね!えー?なんで?



うん、それはね…。




そのブックレットにはファンが大勢映っているページがあり、私もその撮影現場に行った事にしました。(実際は行ってないのに)どうやら、その時に撮られた後ろ姿の写真が使われたみたいだと、何ともバレバレな嘘をつきました。




写真は合成だけどね、と付け加えて。サトウちゃんは私の話を真剣な眼差しで聞いています。そして云々と頷きました。私は焦りました。まさかサトウちゃんがこんなテキトーな話を信じるとは思わなかったからです。
 








その頃の私は、その後ろ姿の女性とそっくり同じ髪型をしていました。そして、その後ろ姿の女性が着ている白いスカートも、似たような上着も持っていました。ところが、私自身はその後ろ姿の女性ほど高身長ではないのです。注意深く写真を見れば、その後ろ姿の女性が私では無い事はすぐにわかるはず。




月日と言うのは残酷です。今の私には、その後ろ姿の女性にさらに数枚上着を羽織らせたような貫禄がつきました。でも、当時の私はその後ろ姿の女性みたいな体型でした。髪型も肩のラインも自分を見てるみたいで、初めて写真を見た私はそれはそれは驚いたのです。え?これ私じゃないの?って。子どもたちも、これはママだ!!と騒ぎました。




普段、自分の後ろ姿を見る事は殆ど無いのに、何故自分に似ていると思ったのかって?それはですね。ベビーカーを押してお散歩していた時に、私は見知らぬ女性に声をかけられたのです。



背中に何かついてますよ。



慌てて背中に手をやると、何やらついています。剥がしてみると、息子のお気に入りのボブとブーブーズのシールでした。私はボブとブーブーズの大きなシールを背中に二枚もくっつけたまま、人通りの多い道を一時間も歩いていたのです。




♬ボーブとブーブーズ、やってくれるかい♬



私はその日以来、外出時に後ろ姿を確認するのが習慣になりました。だから自分の後ろ姿はよく知っているのです。後ろ姿って大事ですよね。年齢は後ろ姿に出ると言いますし。えぇ、年齢感じてますよ、毎日。



勿論、私の冗談にまんまと騙されたサトウちゃんには、すぐにそれが嘘だと言いましたよ。でも、サトウちゃんは今度は嘘だと言うことを信じようとしませんでした。それほど、その女性の後ろ姿が、私の後ろ姿と似ていたのです。




先日、CDを処分しようとして見つけた写真。アルバムLove Letterのブックレットの中の写真。サクラソウの歌詞のページの写真です。


アナタが好きでした
サクラソウ


 

私はその写真を見ているうちに、その頃私が着ていた洋服だけではなく、慌てふためくサトウちゃんや、サトウちゃんちのリビングのグランドピアノや、私の家からサトウちゃんちに続く道なんかを思い出しました。それは、あまりにもはっきりと。まるで当時にワープしたみたいに。いったいいつの話かと思ったら、17年も前の事でした。17年前と言えば、私はギリ30代!若っ!




17年の間には色んなことがありました。でも、どんな出来事も過ぎ去ってしまえば全て良い思い出。サトウちゃんとも連絡を取り合わなくなったけれど、きっと元気でいることでしょう。




ー後ろ姿しか知らない貴女はー




今、何歳になりましたか?
今、幸せにしていますか?



私は貴女のことを知る由もないけれど、きっとどこかで、幸せでいると信じています。貴女の後ろ姿に似ている、私がそうである様に。



あと、ひとつだけ聞きたいのです。
貴女も、Dearsでしたか?




だけど、やっぱり、どうしても。
何度見ても、この後ろ姿の女性。




私だとしか思えないのです。笑


















Dearsだった頃のわたしに

今日も、明日も、明後日も。

お盆休みです。休職中の息子は彼女や友だちとの予定で殆ど不在です。よって、私はずっと夫と二人で過ごしています。来月には義父の三回忌で遠方の実家に帰省するし、私はコロナ療養期間終了日から二週間以上経過するのに、まだ咳が続いています。(先月の帰省中にコロナ陽性に!この事は気が向いたらブログに書くかもしれません)ですから、お盆休みは食材買出し以外はほぼ家で過ごすことにしました。




あと10年もして夫が現役を引退したら、こんな生活が日常となるのでしょうか。外出しなければ、顔を合わせるのも会話するのも夫婦だけ。そこには何の新鮮味もワクワク感もありません。何せもう30年間も夫婦だったのですから。




こんな日々が、これから先も永遠に続くなんて…。想像するだけで気が遠くなるような話です。でも、もしそれがずっと続くのだとしたら、本当に本当に幸せなことなんですよね。







数ヶ月前の桜の咲く頃のこと。10年以上前から読んでいたある方のブログに衝撃を受けました。久しぶりに更新されたブログに書かれていたのは、突然すぎるご主人の訃報でした。ご主人は、私よりもずっと年下です。その方と私は面識などありません。でも、10年以上もブログを読んでいたので一方的によく存じ上げていました。誰もが羨む様な素敵なご夫婦で、ご家族でした。奥様はこう書かれていました。



まさかと思う出来事だったけれど、誰の身にも起きる可能性があること。




ちょうど時を同じくして、私はあるブログと出会いました。とても有名なぺこりーのさんのブログです。ぺこりーのさんは、6年前に30年間連れ添った奥様を亡くされました。奥様はまだ58歳と言う若さだったそうです。




ぺこりーのさんは、奥様亡き後、毎日泣いてうなだれて、もぬけの殻のような日々を過ごしたそうです。経験したことのない信じられないほどの悲しみと喪失感の毎日。6年という年月を経ても、悲しさは何も変わらないのが痛いほど伝わってきて胸が苦しくなります。それでも、前を向くと決めて、奥様と過ごした30年間の思い出と共に毎日元気に力強く生きています。そして、私の方が逆に元気をもらっています。



 
ぺこりーのさんが作るお料理を見ていると、いかに奥様がお料理上手だったかがよくわかります。奥様とはいっぱいお酒を飲んで、いっぱい笑って過ごしたそうです。ブログを読んでいると想像がつきます。美味しいモノを食べて、美味しいお酒を飲んで、たくさん笑ってきたことがよくわかります。そんな食卓なんです。




私と夫もそうです。特別なことがなくても、どうってことがない日にも、美味しいものを食べてお酒を飲んでいます。私たちの共通の趣味は「美味しいものを食べること」です。食べたり飲んだりしながら、くだらない話をします。大抵は、私が一方的にベラベラ話しているだけですが。そして、二人で笑います。




そんな平凡な毎日。こんな何の変哲もない毎日は、ほんとうは奇跡の毎日なのかもしれません。こうして笑い合った年月の思い出が、その思い出だけが、いつかどちらかひとりになったときに、ひとりで生きていくための力になるのだと言うのなら。




毎日美味しいご飯を食べて笑って過ごしたい。
そんなことを強く強く強く思ったお盆でした。





目の前に料理を作ってあげられる人がいるっていうのはどれだけ幸せか。
ー桧山タミー



今日も、明日も、明後日も。
一日でも一回でも多く言いたいです。











ご飯できたよ。

村上RADIOとノボルちゃんのおばさん


最近、RADIOをよく聴いています。便利な世の中になりましたね。そう、radikoでRADIOを聴いています。


今回の『村上RADIO』のテーマは、「猫山さんセレクト・猫づくしの音楽」。幼い頃から、うちにはいつも猫がいたという愛猫家の村上春樹さんが、『村上RADIO』にしばしば登場する猫のキャラクター「猫山さん」と一緒に、「猫の音楽特集」をお送りします。アル・スチュアートが1976年に出したヒット・ソング「イヤー・オブ・ザ・キャット(猫の年)」や、ザ・ローリング・ストーンズの「ストレイキャット・ブルーズ」など、猫という言葉がついたタイトルの曲を集め、歌詞の翻訳は、村上春樹さんが担当しご紹介。

 

7月31日に放送された「村上RADIO」お聴きになりましたか?私はリアルタイムに聴くことが出来ず、radikoで聴きました。久しぶりに聴く村上さんの声は、なんだか妙に心地よくて気分が上がりました。猫山さんセレクトの猫に関する曲も、どれもこれもオシャレでした。随分とたくさんあるもんなんですね、猫が出てくる曲が。



歌詞の翻訳は勿論村上さん。そして、語り口調がなんというか、イイ感じでした。何も知らない人がRADIOを聴いたら、まさか村上春樹だとは気がつかないかも。だって、ちっとも年齢を感じさせない声なんですもの。(村上さん、ごめんなさい笑)



猫好きの村上さんには猫に関するエピソードがわんさかあるから話題は尽きません。中でも、昔飼っていたある猫が、村上さんの膝の上でしかお産をしないという話には驚きました。まるで助産師さんみたいに猫のお産を介助した話を淡々と話す村上さん。さすがは愛猫家です。



村上さんは英語の発音がとても美しいですよね。私は、番組の冒頭で村上さんが「村上RADIO」と言ったのを聴いたとき、中学時代の英語の授業を思い出しました。先生に続いてみんなでRADIOと発音するときの、なんとも言えない小っ恥ずかしい気持ちを思い出したのです。





それと、私。良い発音のRADIOって聴くと、ある人を思い出します。それは、私の幼馴染ノボルちゃん(仮名)のお母さんです。



・・・



父親同士が同じ会社の同僚だった私とノボルちゃんは、同じ社宅に住んでいました。私とノボルちゃんは同じ年です。家族ぐるみで仲良くしていました。偶然にも、私の妹とノボルちゃんの弟も同じ年齢です。



幼稚園入園を前にしてノボルちゃんが引越すまで、毎日の様にノボルちゃんと一緒に遊んでいました。私はノボルちゃんのお母さんのことを「ノボルちゃんのおばさん」と呼んでいました。ノボルちゃんのお母さんであって、おばさんじゃないのにね。



ノボルちゃんのおばさんは、私の母より少し年上でした。とは言っても、まだ20代。若いお母さんです。ノボルちゃんのおばさんは、色白でぽっちゃりとしていました。そして、品がある女性でした。笑うときは、手を口のところに持っていってホホホ…って笑います。ギャハハとか、ガハハではありません。ノボルちゃんが悪戯をして、ノボルちゃんのおばさんが怒っても全然怖くありませんでした。私の母の方が100倍は怖かったです。



ノボルちゃんが引越してからも、時々家族でノボルちゃんの家に遊びに行きました。いつ伺っても家の中は整理整頓されていて、ピカピカです。お菓子や飲み物を出すノボルちゃんのおばさんの所作を今でも覚えていますが、それはとても美しいものでした。ノボルちゃんのおばさんはお嬢様なんだよと、母から聞きました。結婚前はデパートの受付嬢だったそうです。なるほど納得です。立ち振舞いに育ちの良さが滲み出ていたのですね。


  
私がノボルちゃんのおばさんと最期に会った場所は病院でした。闘病中のおばさんを母と二人で見舞ったときです。私は、ノボルちゃんのおばさんへのお見舞いのひとつに、可愛いぬいぐるみを選びました。私はその頃、長男を妊娠中で少し目立ち始めたお腹を抱えてノボルちゃんのおばさんに会いに行きました。
  


久しぶりに会うノボルちゃんのおばさん。少し痩せていたけれど、やっぱり色白で可愛らしいのは変わっていませんでした。ふんわりした優しい声で私に話しかけてくれました。



あら…、つきちゃん、ありがとうね。
まぁ、可愛いくまちゃん。嬉しいわ。



そして、ノボルちゃんのおばさんは私のお腹を見て言いました。



ねぇ、つきちゃん。元気な赤ちゃんを産んでね。
それとね、子ども産んだあとは、お母さんに甘えなきゃダメだよ。いっぱい甘えなさいね。



なんだかわからないけど、私は泣きそうになりました。ノボルちゃんのおばさんは、私が甘え下手であることを知っていたのでしょうか…。



・・・



そんな素敵なノボルちゃんのおばさんですが、結婚後は専業主婦でした。二人の息子の参観日には必ず学校へと出かけます。ノボルちゃんが中1のときの参観日のことです。その日は英語の授業参観でした。



ノボルちゃんは思春期に突入し、日に日に無愛想になっています。参観日に親が来ることすら恥ずかしい年齢です。その日、参観に来ていたお母さんたちはごくわずか。生徒たちはいつもとは違い緊張した様子です。ノボルちゃんのおばさんは、目立つことのないよう教室の後ろで静かに授業を参観していました。


 


英語教師がいくつかの単語を発音します。生徒たちは先生の後に続きます。




先生 RADIO


生徒 「RADIO」


先生 RADIO


生徒 「RADIO」


 

生徒達と、ノボルちゃんと一緒に真剣に英語の授業を聞いていたノボルちゃんのおばさん。気がついたらノボルちゃんのおばさんは、大きな声を出していました。驚いたのは生徒だけではありません。自分の出した声に、ノボルちゃんのおばさんがいちばん驚いていました。その声は、教室に響き渡りました。














レディオ!!!







村上さんのRADIOの発音で、私の遠い記憶が一気に甦ったというお話でした。もしかすると…ノボルちゃんのおばさんの命日だったのかもしれません。



最後までお読みいただき、




 






Thank you very much!

縁切榎におねがいー縁は切れたら結ばれるー



息子にパワハラをした上司との縁を切るべく、息子を誘って縁切榎に参拝した。だけど、真っ先に縁が切れたのは、パワハラ上司ではなく彼女との縁だった…。





•••



母の勘って凄いんだよ。毎日顔を合わせているとわかるの。何も話さなくとも、わかってしまうの。声や様子から、息子たちに何か良くないことがあったのかなとか、きっとイイことがあったんだろうなって、わかってしまうんだよ。



だから、息子たちに彼女が出来たときも、彼女とダメになったときも、知ろうとしたわけでもないのに、私はいつも気がついていた。何も言わないけどね。



息子から、遠距離恋愛中だった美久ちゃん(仮名)と友だちに戻ったという報告を聞いたときもそう。私は気がついていたんだよ。でも、ちょっと気になっていたのは、美久ちゃんと縁が切れたのが、縁切榎参拝後すぐだったこと。息子自身はそのことに気がついているのかな。まさか、そんなことは聞けなかったけど。



なぜなら縁切榎は、必要の無い縁はバッサリと切ってしまう神様だから。ご縁が無かったと言えばそれまでだけど、何も息子が大変なときにこんなことにならなくても…と。まぁ、彼女とは遅かれ早かれそういうことになったかもしれないけど、何もこんなときに…ねぇ。








だけど、私は勘づいていた。たぶん、私の勘は間違っていない。そしてつい先日。我慢出来ずに息子に聞いてしまったのだ。



ねぇ、間違ってるかもしれないけど、ママの勘なんだけどさ、もしかしたら新しい彼女できた?



うん。できたよ。



まさか、とは思うけど、その子が原因で美久ちゃんと別れたの?もしかしてかぶってた?



違う違う。全然ちげーよ。あそこ(縁切榎)行ってすぐに、美久から別れようって言われたんだよ。そしたら、すぐさまこう言うことになった。



すぐさま?



そう。なんか、すげー勢いで、っていうか。そうなんだよ。笑



•••



息子によると、新しい彼女は仕事絡みでの知り合いだから、息子が今置かれている状況をよくわかっているらしい。息子の状況を知るなり、最初に彼女が言ったそうだ。



「それは、すぐにでもやめた方がいい。(会社を)」



息子が今の状況について話したとき「私には全然わからない」と言った美久ちゃんと、新しい彼女とはは真逆のタイプみたいだ。今の彼女は、息子に遠距離恋愛中の彼女がいることも当然知っていたそうだ。そして、それを知りつつも、チャンスがあれば、隙があれば、なんとかして息子を振り向かせようと思っていたと言ったのだそうだ。




何も知らずに縁切榎に行ったのに、こんなことになるなんて、ねぇ。




縁切榎は、悪縁を断つ神様だ。良い縁を結ぶためには、まず悪縁を断つ必要があるからね。私は美久ちゃんとの出会いが良くない縁だったとは全く思わない。きっと縁が無かったということだろう。何ひとつ不満もない職場を辞めてまで、もしかしたら職を失うかもしれない彼のところにくる女の子がいるだろうか。美久ちゃん側からこのことを考えてみると、寧ろ縁が切れて良かったとさえ思う。



新しい彼女は、今の息子の状況を理解した上で、冷静な意見をしてくるような子だという。いずれにせよ、このような混乱した状況下の息子を支えようとしてくれる人がいるのはありがたいこと。縁切榎の神様に感謝しなくては。だけど、縁切榎ってやっぱり凄すぎる。












縁は異なもの味なもの

モンスターハンターと、超えてはいけないラインとーやっぱ人間じゃなかったー



今日もオレの話をする。オレの仕事の話の続きだ。



前回までのオレの話はこちら



どうやらオレは、自分でも気がつかないうちに過労死ラインを超えて働いていたようだ。おまけに二人の上司から受けたパワハラで体調不良に陥り、現在は休職中の身。



正直なところ、仕事を休めと言われてオレは戸惑った。何をすればいいのかわからなかったから。それが今はどうだろう。ゆっくりと湯船に浸かり、眠りたいだけ眠り、会いたい人に会える生活。こんなこと久しぶりだ。


 
早朝に家を出て深夜帰宅の日々。もしくは帰れない日も多かったから食事もかなり偏っていた。外食かコンビニ飯だったから、久しぶりに食べる家飯の美味いこと。今更ながら食事の大切さを痛感する。「生きることは食べること」って、母さんがよく言ってるけど、本当にそうかも。ちゃんと生きる為には、しっかりと食べないとダメってことか。



たっぷりの睡眠と休養で随分と回復してきたオレは、自分が本当に働き過ぎだったことにようやく気がついた。少しずつだけど、エネルギーが充電されてるって感じがする。まぁ、先のことはまだわかんないけど。



母さんは相変わらず。平静を装ってはいるけど、内心穏やかじゃないだろうな。オレが起きるのは掃除も洗濯も終わって、母さんが韓国ドラマを観ながら一息ついてる頃だ。最近はまた「梨泰院クラス」を観てるらしい。この前なんか、オレにパク・セロイの髪型を勧めてきてたな。




本家に髪型まで似せた「六本木ヒルズ」も始まった




実はオレには「日本語を韓国語に聞こえるように話す」って言う隠していた芸があるんだけど、これを母さんと二人でやると、クソ面白いんだ。どーでもいい話だけど。笑



その母さんだけど、何やらあの●●みたいな姉妹が好きで(そう言うと母さんは怒るけど)色々チェックしてるらしい。オレは全然興味ないんだけどさ。
  




だけど、この話はおっ?ってなったよ。







ちょっと、ちょっと、ちょっとー。君にパワハラしてた上司たちのこと、ママはずーっと人間じゃないって思ってたけどね、やっぱそうみたい。本当に人間じゃなかったんだよ!だってね、ファビュラスなお姉様も言ってるんだから!





嫌なことを言われたら”今日は蝉が煩いわね”とイメージしてみる。蝉であって人ではないということです。






マジか…。



やっぱオレの上司は人間じゃなかったんだ。



だけど、蝉が煩いのは期間限定だよ。
それに、それじゃあ、あまりにも…。














蝉に失礼じゃないか

元カノと、「梨泰院クラス」


付き合っていた人と別れた後、その人とはどんな関係になりますか?別れ方にもよるけれど、縁が切れた以上、別れた後も友だちみたいな関係にはならないのが普通だと、わたしは思ってました。


ところが、息子は少しばかり違うようなんです…。


・・・

     
もしかして、元カノとより戻した?



違ぇよ。でも、今は友だちだから連絡来ることはあるよ。高校ん時の元カノから彼氏のことで相談されたし、夜中にラーメン食いに行ってたのは中学ん時の元カノだし。



えー。そうなんだ。ってことは、喧嘩別れしてないんだ。



オレ、誰とも喧嘩別れとか変な別れ方はしてないよ。元カノはみんな友だちだよ。だから今も連絡がくる



先日、「縁切榎」にお参りに行った四日後に、元カノとの縁が切れた息子だけど、落ち込んでるかと言ったら全然そんな様子は見られません。


縁切榎参拝四日後に彼女との縁が切れました


美久とは、こっちに来たときには飯でも食おうよって話したよ。それに真凛(仮名)から連絡あった。ちょうど今、就活中らしく大変みたいだわ。



真凛ちゃんは、美久ちゃんの前に付き合っていた元カノです。ある意味、わたしの人生は真凛ちゃんのお陰で変わったと言っても過言ではありません。笑


・・・


息子は彼女と別れた後は、その元カノとは友だちになるのです。だから、彼女と別れたときに「友だちに戻る」と言う表現をしていたのですね。世代が違うわたしにはわからない感覚です。今時の子、ならではなんでしょうか。息子だから、なんでしょうか…。



今でも元カノの話を聞くことはありますが、元カノの悪口を聞いたことは一度もありません。息子の話を聞いていると、彼女たちとは「縁が切れる」と言うより「縁が変わる」と言う印象を受けました。



わたしは真凛ちゃんには会ったことがありませんが、彼女のおかげでわたしの人生は変わりました。それまで全く興味が無かった韓国ドラマにハマったのは、韓ドラ好きの真凛ちゃんの影響です。真凛ちゃんにお勧めされた「梨泰院クラス」を観た息子が、面白いからまぁ観てと、わたしに勧めてきたのです。




わたしの初韓ドラは「梨泰院クラス」でした




正直言うと、最初はこのドラマにはハマりませんでした。ですが、その後いくつも韓ドラを観ていくうちに、どんどんハマっていったのです。明日から「梨泰院クラス」のリメイクドラマが始まりますね。



内容はかなり「梨泰院クラス」に寄せてるようで、どこまで面白くなるかは…ですが、あの長家の会長役を香川照之氏が演るというので、とても楽しみです。主演の竹内涼真くんがパク・セロイの面白髪型になりましたが、わたしとしては、パクセロイ役は藤ヶ谷くんにやって欲しかったです。笑




だって、そっくりすぎなんだもの…。

画像はお借りしています




ドラマ「梨泰院クラス」は、長家のドラ息子のせいで高校中退、殺人未遂前科者となってしまった男パク・セロイが、弱肉強食を信条にして飲食業界一となった長家への復讐を誓い、カネと権力を理不尽に振りかざす長家に屈せずに立ち向かうサクセスストーリーです。



復讐のやり方は、長家のやり方とは真逆の方法です。会社は人だとセロイは言います。人がいるから商売ができるのだと。セロイは仲間を大切にします。



そうですよね。会社でいちばん大切なのは人財だと、わたしは思います。働く人がいなければ会社は大きくなりませんし、働く人を育てなければ会社は成長しないと思います。




悉くセロイを潰しにかかり、持てるものを全て奪おうと追い詰めるてくる会長にセロイが立ち向かいます。




僕はもっと強くなります





・・・




美容室に行くと言う息子にセロイの髪型を提案しました。その髪型にして、会社へ行ってはどうかと提案しました。君を潰そうと圧力をかけまくっていた上司にひとこと言ってやったらいいと提案しました。




そして、パク・セロイのように言ってやればいい。









オレは何一つ奪われていない

谷川さんからの質問です

ひとはいつか必ず死ぬ。死んでしまったらいま頭の中で考えていることは一体どこへ消えてしまうのかな。ひとは必ず死ぬのに、なぜ生まれてくるのかな。





怖い。いつか必ず死ぬなんて怖い。いつか、自分のからだも、自分が今考えていることも全て消えてなくなってしまうなんてすごく怖い。わたしはまだ死にたくない。




布団にくるまりながら、そんなことを考えていると胸がドキドキとした。そのうち耳からザッザッと言う音が聞こえてくる。そこまでくると、わたしはもう何も考えてることをやめてぎゅっと目を瞑る。




そうこうしているうちに、いつしか眠りの淵に引き摺りこまれていく。朝になるとそんなことはすっかり忘れてる。そしてまた眠れない夜に同じことを考える。わたしがまだ幼かった頃のことだ。




その頃、近くに谷川俊太郎さんがいたら、わたしの質問に何と答えてくれたかな…。









質問 六十四 ━━━━

人は、何をしに生まれてくるのですか。
(みもりん 十歳)



谷川さんの答 ━━━━

人は何かをしに
生まれてくるわけではありません。
生きているのが楽しくて
幸せだと思えるように生きる、
そのために生まれて、生きているんです。






この質問のあと。最後の質問は谷川俊太郎さんからの質問だった。
この質問に、あなたは何と答えますか。





質問 六十五 ━━━━












誰に訊いても、どんなに本やネットで調べても、答がない質問があります。それはどんな質問だと思いますか?